かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

必要悪?

内部をひたすら降りていく中、下部の方で何かの衝撃が伝わってきた。
自分が撃った対物ライフルの弾だとしても、あまりに遅すぎである。




…その正体はすぐに把握できた。
大量の、死体。全て黒牙會の構成員だった。
血痕はほとんどなかった。血を出さないように殺したのか、…血を全て、舐めとったのか。
前者は到底無理だろう。死体は固まっていたのだから。一人、いや二人殺せば見つかっている。
こんな芸当ができるのは余程の狂人か。はたまた猛者か。

…正直なこと、怒りで頭がパンクしそうだった。戦争は、善も悪もない、純粋で残酷で戦い―――
そんな事、傭兵時代に嫌というほどわかっていたはずだった。
黒牙會にきて腑抜けたか?そんなことは考えたくなかった。ただただ、相手を憎んだ。



彼は沸騰しそうな頭を鎮めながら、遺体の処理をした。仰向けにして、手を組ませて、
顔の上に何かはおわせるという簡易なものだったが、これぐらいはやりたかった。
それが終わり、こんなことをやってのけた者と出くわさない事を祈りつつ、再び彼は駆け出して――


――紅灯商会の二人組と、エンカウントした。