かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

お茶仲間と。 in 天照。

BC財団は、天照に来てもMr.Dの意向でティータイムを設けている。場所はBC財団がとってくれたホテルのロビーだったかな。他にも各々でやってるとこもあるみたいだけど。まあ、なんにせよティータイムがあるってことは素晴らしい。一息つける時間が設けられるっていうのは実はかなり大切なことだと思っている。何をするにしたって、根を詰めすぎるのは良くないと思うしね。

さて、今日は白髪ツインテールの素敵なアレッタさんといつでもチョコ持ってるロマンとお茶する予定入れてたんだ。正直意外な組み合わせだよね。誘ったら二人共来てくれたよ。財団の人ってノリ良い人多いよね。大好き。

着いたけど…これは…

「ん…ん…?いない…いなくない…?」見当たらない。どこだ。まだ来てないとか?僕よりしっかりしてるあの二人がそんなわけない。

「…ズリエル。」

「うおぉうっ!!誰!!!!…ロマンじゃん、驚かさないでよ…。どうしたの。アレッタさんは?」

「…場所を変えよう。」

え?何その不穏な雰囲気。お茶飲むって話じゃないの。えっ嘘そんな修羅場的な感じなの。なにも準備してないよ。

「…ここってロマンの部屋でしょ。何?今日はここでお茶するの?」

「誰かに見られる前に部屋に入ろう。早く。」

ロマンに急かされて部屋に入ると、そこには――――

 

大量のお菓子。アホか。いやすごい良いと思うけど。しかもなんかキラキラしてるやつあるよね?絶対美味しいよあれ。えっまってケーキっぽいのあるんだけど。まじで?どっから持ってきたの。天照で買ってきたでしょあれ。

…あれか。秘密のティータイムってわけか。燃えるな。本国でもちょくちょくロマンとやってたけどね。

「これ…どうしたの。てかアレッタさんは?」

「ここにいます。こんにちは、ズリエル先輩。」

「…え?いる?ほんと?見えないんだけど…。ちょっと手上に挙げてもらっても良い?」いた。お菓子が積み上げられてて見えねえ。

「靴を脱ぐことを忘れてはいけないわ。郷に入れば郷に従え。この国の言葉で、その土地やその環境に入ったならば、そこでの習慣ややり方に従う。そのような意味のようね。」

「あ、そうなんだ…ありがとう…。」

実は結構テンション上がってるよね。彼女。なんてロマンに耳打ちした。甘いもの好きみたいだからね、とロマン。クスっときた。

「ていうかズリエル。早く上がってよ。狭い。」

「あーごめんごめん、すぐ行くよ…。…ああ。アレッタさん正座してたんだね…。そりゃ見えないわ…へー…これが座布団…。うっすいねえこれ。足痛くなりそう。」

「そうそう。ズリエル先輩。この前渡したハンドクリームは使ってもらえたかしら。結構良い物だったのだけれど。」

「あれね。凄いね。手スベスベになったよ。何処で売ってるか教えてもらえたら自分で定期的に買いに行くよ。今度一緒に行こう。」

「ええ。勿論。スイーツ巡りも一緒にしましょう。」

「うん。ロマンもまた行こうよ。あのチョコパフェの美味しい店また行きたいんだ。」アレッタさんがちょっと反応した気がする。気のせいかな。

「あそこに目を付けるなんてズリエルも目ざといね。是非行こう。………そろそろ食べない?お菓子。あとせっかくだから正座しようよズリエルも。俺もする。…さて、お菓子開けようか。今回のお菓子はー…これ。西京名物『西京奈なば』。前置きはいらないんじゃないかな。」

西京奈なば。バナナカスタードクリームをスポンジで包んだバナナを模したお菓子。らしい。色んなタイプのものがあるらしい。

「お茶は私が入れたわ。どうぞ堪能して頂戴。」

「それじゃあ…」

「「「頂きます。」」」

これも天照の文化だった気がする。ものを食べる前に挨拶をする。感謝の念とかするんだったか。形だけ感謝して西京奈なばなるものを口へ運ぶ。おお…これは…美味しい…。なんかバナナの味がしてふわふわする…。僕は言語化が下手なんだけどこれはほんとに…天照の文化に触れたって気がする…。これ買ってブリテン持ってこう…。アレッタさんの入れた紅茶も美味しいしなにこれ…?味に深みがある…。あっなんかこれ僕要らないよな…いややっぱ幸せ…。

西京奈なばを口に入れてバナナカスタードクリームの甘さとスポンジの柔らかさを噛み締めて噛み締め飲み込んだあと余韻を楽しみ、そして紅茶で水分の失った口を潤す…なんだこのサイクル。止まらん。

「…ズリエル。幸せそうにしてる所悪いんだけど。」

「もうないわよ。西京奈なば。」

「…え?」ほんとにない。僅か15分の出来事である。

「ええええええええ???????結構あったよね????10個くらいはあったよね??二個しか食べてないよ僕!!!!二人共何個食べたの!!!!ねえ!!!!」

「「…。」」そっぽ向いて黙秘を貫く二人。マジで?

「…はあ。まあいいよ。自分で食べる分買って来ればいいだけだしね。ていうか僕今回誘ったくせに何もしてないから、二人の仕事の分って考えれば惜しくもないか。うん。それに珍しいものも見れたし。」

「なんか勿体ぶって言うね。何を見たのさ。」

「ひーみつ。なかなか良いものでした。…いよっし。美味しいものを振る舞ってもらったところで僕はまた外に繰り出そうかな。調べたいこともあるからね。ロマン、お邪魔しました。アレッタさん、お茶美味しかったです。またこの三人で一緒にスイーツめぐりでもしよう。ばいばい。」

アレッタさんの真似事をして痺れかけていた足を起こしながら部屋を出る。本当に美味しかったな。仕事が終わったら向こうで他のも買い食いしよう。

…アレッタさん、意外と表情豊かなんだねえ。本当にいいもの見れた。これで今日も頑張れそうだ。いや、ロマンのもチョイス絶妙だったよ。うん。けどお菓子を僕よりも食べたのは許さない。

 

…さあて、お仕事しましょうか。すれ違ったエルザちゃんに会釈をして、ホテルを飛び出した。向かうは、港区。マクガフィンがもし海上輸送されたなら、ここに痕跡はあるだろう。何が出てくるだろう。鬼か、蛇か。はたまた別の何かか。くだらないことを考えながら、懐中時計型のディレイカウンターを作動させた。

 

 

 

さらねずみさんのローマン・アディントンさん、白豆さんのアレッタ・マグノイアさん、名前のみリードキャラクターのMr.Dさん、エルザ・プラマティテさんをお借りしました。ありがとうございました。