かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

茂みの裏の隠し事。

【ノリで書いてます。不都合あれば無視してもらって構いません。】 華米高校。入学式から数日。 夕陽が影を伴って現れる、午後五時前。橙色に、廊下が染め上げられていた。 放課後に何となしに好みの顔をした子に声を掛けては、身体を交わらせて。相手が音を…

切れかけの糸

…ああ。どうやらまだ、俺は満足できていないようで。 入り組んだ路地の、狭く人目につかないどこか。壁に凭れ、空を見上げ、定まらぬ焦点で流れる雲を追う。自らに問うた、単純な質問の答え。身体から腕をつたい包帯に滲み、それでも先から滴り落ちていく自…

消えられない。

確かに、死んだはずなんだ。失意のままに、あの部屋に呑まれて。遺していく君のことを憂いながら、柄にもなく涙を流して。それでも何とかどうにか、弱みは見せないまま逝けたと思ったのに。 どうして? 意味を問う疑問ばかりが頭に浮かんでは蒸発していく。…

面は暴かれずとも。

大貌博物館地下、財団研究施設。午前の仕事を丁度終え、昼休みに入ったところ。 ああ…疲れた…。最近立て続けにマクガフィンの調査が行われていて…その調査内容、過程と結果…はあ。次から次に仕事が増えていくものなあ。ようやく書類の束を消したと思ったらそ…

緋色に染まれ。

トメニア第三帝国。アーベルト=デンメルング収容所。普段鋼鉄が張り付いたようなイメージで沈黙を保つそこは、最早別の舞台と化していた。 サイレンがけたたましく唸る。血生臭い雰囲気が体に纏わりつく。現実に生きている実感が湧く。数多の獣共の咆哮は共…