かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

2019-01-01から1年間の記事一覧

以て瞑すべし。

【本文は世界滅亡アンソロジー『くたばれ世界』に投げ捨てられた文章です】 さて、何をもって滅びとしようか。 ありがちなのはやはり分かりやすい"破壊"だろうか。 要因は無数にあれど、齎される結果は概ね一つ。意思も理由もない破壊。 長い年月を経て建築…

絶黒に堕ちて。

親を喪い、同時に神に選ばれたその日。夢を見た。 灰と火の粉が空気を染めて、空を覆うのはおどろおどろしい戦慄の朱色。燃え盛る黒い炎に囲まれた十字架の下に、少年と少女が立っていた。親を亡くしたその日の、アメジストにも勝る程の母親の美しき紫眼をも…

白恋に散る

波の音を聞いている。波の音しか、聞きたくなくて。今は一人で、一人になりたくて。 人気がない所をわざわざ探した。歩いて歩いて、空と海しか見えない場所に辿り着いた。 適当な防波堤に腰を下ろして、ぼうっと、起こったことを振り返っていた。夜色に染る…

色に出ず。

修学旅行に行く前のいつか。 帰りの時に、君を待ってた。 僕は夕暮れを光源にして本を読んでいて、座っていた階段が硬くって。首が疲れ出した頃に君はようやくやってきて、僕を驚かして。 しばらく見てたような口振りで笑う君に、また驚いて、少しムッとして…

Speech is Silver,

子供の集まる中、怒号が飛び交っている。 槍玉に上がるのは、無崎という名前。大人しくて、無我で無口で無害な彼女。 なんてのは唯の猫被りだった様で。彼女は確かに、鎌倉ねむを屋上から突き飛ばした。僕は目に焼き付けた。その腕の力の入れ様も、覗き込む…

The Boundary of Mirror

砕かれるような金属音。嫌な感触のあった足底を身体を竦めながら見てみれば、硝子の鱗粉がこびりついていた。金のフレームはひん曲がり、可笑しな曲線美を描く。 別にわざとでは無かったけれど、一度壊してしまったなら仕方が無い。もっと壊してみようか。靴…

カバーガラス

初めて訪れる雑貨店。ドアを開いて、迎えるのは聞いたことのないアイドルソング。宇宙を模した壁紙が四方に敷かれた、閉め切ったうす暗い店内が少し蒸し暑い。 CDが見たいと、自分を連れてきた大豆生田は多趣味の様で、クラスメイトにも顔が利く。転入して…

【R18】暗澹

※ifです。 「なに、なん、でこんな、やだ、いや……!」 先生は出張でいなくて、自主練で。友達の子は先に帰ってしまって。せっかく静かだったから、部活の時間が終わったあとも、しばらく残って練習をしていて。いい加減にもう帰ろうと、着替えをしに物陰へ行…

青色に目が眩む

どこまでも広がる透けるような青空と、陽に照らされ白く波打つ蒼海の間の地平線。 確か、4年くらい前。自分が育ったこの場所を離れるまで、毎日のように見ていた景色。離れる前は、別にどうって事ないなんて思っていた。離れてから少し経てば、一目見たくて…