かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

2018-01-01から1年間の記事一覧

後始末。

「……馬鹿な事を。」 目の前の醜悪な怪物に、毒を吐く。 うぞうぞと不愉快な動きを繰り返す、異形の肉塊。存在そのものが気象悪いと感じるほど、それは非現実的なもので。 そこに重ねて苛立つのは、その怪物に目の前で部下が囚われたからで。しかもあろうこと…

【CW】影を落とした先の事。

ヒイラギの輪結成からほんの少し、時は経って。 お互いがお互いの距離感をまだ測りかねている頃。ギクシャクとしたやり取りが連鎖する。 …まだ、あの人たちについて分かっていることは少ないけれど。少なくとも彼らが凄腕なのは間違いない。纏っているオーラ…

星の降る夜。

冷たい空気が肌に刺さる頃。真夜中の、ブリテンのどこか。 「星って、キレーなんだな。」 手を繋いで、後ろを忙しなく着いてくる少女。夜空を見て、足を止めて感想を漏らした。 「ああ……そうだな。星は綺麗だ。何時もそこで輝いている。少し憎らしいくらいだ…

祈りを込めて。

「ふぁ………。」 大英博物館地下。数々の研究成果や過程の詰まった書類。それらが納められた棚に囲まれて、あくびをひとつ。 いくら呪いを解くためと言っても、参考文献がこんなとこで見つかるのか不安になってきている自分がいる訳で。財団に来たのは失敗だっ…

【R18/BL】脈打って。

「はぁッ、はっ、ん、ふ、ふっ、ふふ……あっ…、」 乱暴に揺さぶられる身体。淫靡なため息とともに上擦った声が漏れる。自分に覆い被さって、快楽に溺れる彼を見て、不思議と笑みが浮かぶ。始まる前こそ勃たないなどと渋っていたのに。いざ始まってみればこれ…

真夜中の授業。

日付の変わりそうな時刻。大英博物館地下。BC財団研究施設。 普段人の多い休憩室……もとい度々お茶会のたまり場と化す食堂も、この時間となっては廊下の方で足音が一時間に数回、ポツポツとするだけ。 そんな中で好みの飲料を片手に、読書に耽ける夜行性の吸…

朝が来なければいいのに。

永遠に、夜でいい。夜が終われば朝が始まる。朝が始まれば、時間は進んで。あらゆる事が、進み出す。 万物は時の流れに逆らえない。生まれ、存在し、やがて瓦解し消え行く。そこに例外はない。余程神秘の、理の外に置かれた存在でもない限り。 ……そして愛す…

Ashley's Day.

薄くらい、仄かな明かりの照らすバーカウンター。 目に眩しいライトブルーが、陳列されたボトルを色鮮やかに照らす。 ジャズ調の激し過ぎないBGM。 ……なんともまあ、暇な野郎も居たものだ。 待ちかねた休日に、そんなお気に入りのバーで一人悠々と立ち飲みを…

継ぎ接ぎの首輪。

つまらない。全てクソッタレだ。今という時間がただ退屈だ。問い掛けと称した拷問も。暇潰しに付き合わされるチェスも。凡て、平坦で。くだらない。 箱と呼ぶに相応しい無機質を敷き詰めたようなその正方形の部屋で、その暗がりの中で、何かを待っている。腐…

【R18】快と辱、えも言われず。

【R18描写があります。】 早く終われ。早く終われ。早く終われ。はやく、はやく、はやく。 未知の感覚に襲われて、身体を震わせて。自分の上に跨った女狐を睨みつけながら、されるがままの自分を悔いて、屈辱を味わう。 窓から入る雨音で、必死に気を紛らわ…

月の忌まわしき夜の事。

天照神国。 西京都、荒川区。取り留めのない日の夜。 月が、一段と強く光を放っているような。そんな気が、した。 ……気のせい、か? 人気のない通り。民家の屋根の、綺麗に重ねられた瓦の道を、誰にも見つからない様に音を消して駆けながら、横目でちらりと…

チェリーブロッサムを飲み干して。

…アラーム。なんの変わりもない、鳴り響くベルの音。いつもなら、特に思う所もなく目覚まし時計を乱暴に叩いてはものぐさに起き上がるのだが。今はなんとなく、それすら面倒に思える。 …これは現実。鬱陶しく感じていた朝の目覚めの感覚が、今は少し愛おしい…

夢夢

ここは、夢の舞台。 スロットから垂れ流され、その輝きの眩しい金貨の滝には誰もが涎を垂らし。何段も積み上げられた透明なグラスのタワーから沸き起こり、泡を立てる黄金色の液体は誰もを潤し。雑踏の中、秀麗な衣装に身を包む端整な者達は鮮やかに、そして…

甘露な夢に、溶けて。【微性的表現あり】

【注意⚠ 後半に微性的表現が有ります。】 船の揺れで、目が覚める。身体を起こすなり、汗を吸い取った服が肌にへばりつく感触が襲う。空調の効いていない部屋だったのか。 …そも、ここは何処だ。寝かせられていた、お世辞にも質が良いとは言えないベッドを手…

現を抜かす、船の上。

気付けば、船の中に居た。それもボートやヨットなどの陳腐なものでない、目が眩むほど輝かしい光景の他所に人の欲が醜いほど色濃く顕れるには最適な様な、そんな豪華客船。 黄金の装飾が施されたシャンデリアが宙高く吊られ、周囲を照らす。周りを見渡せば気…

【R18】気に入った獲物は

【BL、性的描写あり。ご注意を。】 取り留めのない話を繰り返す。 歯応えのない日々を彷徨う。 ひたすらに欲に身を任せ始めたのは、いつからだったか。幼い頃に抱いた夢は何だっただろうか。思いを馳せた人は誰だっただろうか。何を頭に刻み付け体に染み込ま…

血の中で一緒。

【ifルートとなります。】 あれから、三ヶ月の時が経って。未だに僕は、振り出しの地点から動く事が出来なくて。むしろ僕から歩を後ろ向きに進んでしまったような、そんな気分で。 …何をしていいか、わからない。今度こそ、どん詰まり。欲しい欲しいと思うだ…

今、何周目?

今日は何日だっただろうか。 夕日の色に染め上げられる教室で、自分以外誰もいなくなった箱の中で。机に突っ伏し意味もなく考える。黒板に書かれた日付を見れば分かるだろうに、何となく腕を組んで出来た枕が思いのほか寝心地がいいから。空いた窓から抜ける…

It's time to dance with Blade.

昼下がり。曇天の下。鬱蒼とした、人気のない路地の、どこか。そこには彼が普段見せる様子とはまるで違う戦いが繰り広げられていて。 ――――――一時間ほど、前のこと。 夥しい血で彩られた狭い道。死体が道の隅に散乱する中をひと仕事終えたように佇んでいたの…

茂みの裏の隠し事。

【ノリで書いてます。不都合あれば無視してもらって構いません。】 華米高校。入学式から数日。 夕陽が影を伴って現れる、午後五時前。橙色に、廊下が染め上げられていた。 放課後に何となしに好みの顔をした子に声を掛けては、身体を交わらせて。相手が音を…

切れかけの糸

…ああ。どうやらまだ、俺は満足できていないようで。 入り組んだ路地の、狭く人目につかないどこか。壁に凭れ、空を見上げ、定まらぬ焦点で流れる雲を追う。自らに問うた、単純な質問の答え。身体から腕をつたい包帯に滲み、それでも先から滴り落ちていく自…

消えられない。

確かに、死んだはずなんだ。失意のままに、あの部屋に呑まれて。遺していく君のことを憂いながら、柄にもなく涙を流して。それでも何とかどうにか、弱みは見せないまま逝けたと思ったのに。 どうして? 意味を問う疑問ばかりが頭に浮かんでは蒸発していく。…

面は暴かれずとも。

大貌博物館地下、財団研究施設。午前の仕事を丁度終え、昼休みに入ったところ。 ああ…疲れた…。最近立て続けにマクガフィンの調査が行われていて…その調査内容、過程と結果…はあ。次から次に仕事が増えていくものなあ。ようやく書類の束を消したと思ったらそ…

緋色に染まれ。

トメニア第三帝国。アーベルト=デンメルング収容所。普段鋼鉄が張り付いたようなイメージで沈黙を保つそこは、最早別の舞台と化していた。 サイレンがけたたましく唸る。血生臭い雰囲気が体に纏わりつく。現実に生きている実感が湧く。数多の獣共の咆哮は共…

首輪の亀裂

某日、トメニア第三帝国内、某所。 雨の降る日だった。湿り気に満ち、ゴミの散乱した薄暗い細い路地の中、一人の男が顔の見えないよう深めに傘を差す。後頭部からだらりと垂らした白髪を弄り暇を潰していた。雨粒が地面とぶつかる音が何重も重なる中に、ヒー…

【R18】夜が耽るまで。

【ガッツリ性描写あり。BL、ふたなり描写あり。閲覧の際にはご注意ください。】 【未来ifです。ある日の夜のこと。の続きとなります。】 ベッドの横に立つスタンドライトの紐を人差し指と中指で引っ掛けて下ろしながら、ベッドの背掛けに体をもたれかけて枕…

ある日の夜のこと。

【未来ifです。】 最近、ロゼがやけに素っ気ない。いつもツーンとしているというか。…僕、なんかしたか?思い当たる節が………なくはない、けど………………ええ?いやどれもこれもそんな大したことじゃないしそもそもあんな事やそんな事でこんなに不満を垂れ流し続け…

もう一度、あの夢を。

【パラレル成分が多めです。読んでいただける際にはご注意を。】 貌国、某所、ナイトリー家…だったはずの場所。その地に、彼女の幼馴染だった二人は来ていた。 確かに見覚えのある家。見覚えのある部屋。今はただの、抜け殻でしかない。 「…埃だらけだな…。…

やがて来る日。

【※未来ifです】 遠い、遠い未来のこと。 体を動かす事が辛く感じる。関節の節々は痛み、咳込みの頻度は明らかに増えた。何も考えられず、ぼーっとしている時間も増えた。僕が出来なくなったことは、今では彼がやってくれているが。嬉しさと同時に、申し訳な…

それから、眠って。

【それから、それから。】の続きとなります。 「…おはよ。」 「はい、おそよう。もうお昼だよ。よく寝たね。」 昼の、1時。丁度だ。大時計台の鐘が鳴る音が聴こえる。 「ご飯は?食べるなら用意するけど。」 「んん………いらない…。あったかい飲み物欲しい…。…