かきごおりのお庭。

企画の小説とか書いていきます.

朝が来なければいいのに。

永遠に、夜でいい。夜が終われば朝が始まる。朝が始まれば、時間は進んで。あらゆる事が、進み出す。

 

万物は時の流れに逆らえない。生まれ、存在し、やがて瓦解し消え行く。そこに例外はない。余程神秘の、理の外に置かれた存在でもない限り。

……そして愛する人類は、もちろん蚊帳の中。時間の流れに囚われて、抗うこともしないままにその生涯を終える。誰かはこれを、美しいと呼んだ。…美しいのだろうか。美しいのだろう。他でもない彼らが言うのだから。

人は死ぬものだ。当たり前だ。死はそれぞれに等しく結末として用意される。分かっている。分かってはいるが。到底、受け入れられそうにはない。

 

笑える。人より数倍の年を生きてもまだ、人の価値観に寄り添うことが出来ない。彼らは強い。吸血鬼なんかより、とても、とても。

 

叶わないことだとわかっている。あってはいけない事だと。そうなって困るのは愛する彼ら自身だから。だけどそれでも、それでも心のどこかで思わずにはいられない。子供じみた想いを。

 

 

死なないで欲しい。生きて欲しい。出来るならば、永遠に。

 

 

朝が、来なければいいのに。

太陽が嫌いだ。

 

 

「……ああ、今日も天気が良くて。」

光の漏れ始めた窓のカーテンを開けて、飛び込んできた陽射しを手で覆って。

「嫌な気分だ。」 

我が物顔で浮かぶ、太陽を。掌越しに睨んだ。